遺言書が見つかったら最初にすること
ご家族が亡くなられた後、自宅の机や金庫、仏壇の引き出しなどから遺言書が見つかることがあります。 しかし、遺言書は「見つけたらすぐ開封してよい」というものではありません。 遺言書の種類によって、取るべき手続きが大きく異なるためです。
本記事では、遺言書を発見した際にまず確認すべきポイントと、行政書士に相談するメリットについて整理します。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
遺言書にはいくつかの種類がありますが、実務でよく見つかるのは次の3つです。
● 自筆証書遺言(自宅保管)
本人が自筆で作成し、自宅で保管している遺言書です。 封筒に入れられ、封印されていることが多く、勝手に開封してはいけない代表的な遺言書です。
特徴
- 全文を自筆で書く必要がある(財産目録はパソコン可)
- 費用がかからない
- 方式不備で無効になるリスクがある
- 自宅保管の場合は「検認」が必要
● 自筆証書遺言(法務局保管制度を利用)
2020年から始まった制度で、遺言書を法務局に預ける方法です。 自宅保管と同じ自筆証書遺言ですが、法務局で保管されている場合は検認が不要です。
特徴
- 法務局が原本を保管するため紛失の心配がない
- 方式不備のチェックがあるため無効リスクが低い
- 開封の必要がなく、法務局で内容確認ができる
- 相続人が「遺言書情報証明書」を取得して手続きに利用する
● 公正証書遺言
公証役場で公証人が作成する遺言書です。 原本は公証役場に保管され、相続人は「正本」「謄本」を使って手続きを進めます。
特徴
- 方式不備の心配がなく、最も確実
- 紛失の心配がない
- 検認は不要
- 作成時に証人2名が必要
検認が必要な場合
遺言書を見つけたとき、まず確認すべきは「検認が必要かどうか」です。
● 検認とは
家庭裁判所が、遺言書の形状・内容・日付などを確認し、 「偽造や変造がされていないか」をチェックする手続きです。
検認は遺言の有効・無効を判断するものではありませんが、 検認を経ずに遺言書を使って手続きを進めることはできません。
● 検認が必要な遺言書
- 自筆証書遺言(自宅保管)
- 秘密証書遺言
● 検認が不要な遺言書
- 公正証書遺言
- 法務局で保管されている自筆証書遺言
● 検認の申立てに必要なもの
- 遺言書の原本
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の戸籍
- 申立書
- 収入印紙・郵券
戸籍の収集は本籍地が複数ある場合に手間がかかり、 行政書士へのご依頼が多い部分です。
勝手に開封してはいけない理由
自筆証書遺言(自宅保管)を見つけた場合、 封筒が閉じられていても、絶対に勝手に開封してはいけません。
● 理由1:法律で禁止されている
民法では、封印された自筆証書遺言を勝手に開封した場合、 「5万円以下の過料」と定められています。
● 理由2:検認手続きに支障が出る
封印された状態で家庭裁判所に提出する必要があります。 勝手に開封すると、 「誰がいつ開封したのか」 「内容が改ざんされていないか」 などの疑念が生じ、手続きが複雑化します。
● 理由3:相続人間のトラブルの原因になる
遺言書は非常にデリケートな書類です。 開封のタイミングや方法を誤ると、 「内容を勝手に確認したのではないか」 「書き換えたのではないか」 といった不信感につながります。
法務局で保管されていた場合の流れ
法務局保管制度を利用している場合は、 自宅に遺言書の原本がないことが多く、 「法務局から通知が届いて初めて知る」というケースもあります。
● 相続人が行うこと
- 法務局で「遺言書情報証明書」を取得する
- 証明書を使って金融機関・不動産の手続きを進める
- 必要に応じて遺言執行者が手続きを行う
この制度を利用している場合、 検認が不要で、手続きが非常にスムーズです。
行政書士へ相談するメリット
遺言書を見つけたとき、何から手を付ければよいか分からないというご相談は多くあります。 行政書士に相談することで、次のようなメリットがあります。
● 1. 遺言書の種類を正確に判断できる
封筒の状態、書式、日付、署名などを確認し、 検認が必要かどうかを判断します。
● 2. 戸籍収集を任せられる
検認申立てには多くの戸籍が必要です。 本籍地が複数ある場合や、転籍が多い場合は特に手間がかかります。
● 3. 相続人関係図を作成してもらえる
家庭裁判所や金融機関で必要となる「相続関係説明図」を作成します。
● 4. 遺産分割協議書の作成まで一貫してサポート
遺言書の内容に従って手続きを進める場合でも、 不動産や預貯金の名義変更には書類が必要です。
● 5. 他士業との連携がスムーズ
相続登記は司法書士、相続税申告は税理士が担当します。 行政書士が窓口となり、全体の流れを整理しながら進めることができます。
まとめ
遺言書を見つけた際に大切なのは、 「すぐに開封しないこと」 そして 「種類を確認し、適切な手続きを進めること」 です。
- 自筆証書遺言(自宅保管)は検認が必要
- 法務局保管の自筆証書遺言は検認不要
- 公正証書遺言はそのまま手続きに利用できる
遺言書は相続手続きの大切な道しるべです。 不安な点があれば、早めに専門家へ相談することで、 ご家族の負担を大きく減らすことができます。
