みまもり契約で行政書士ができること・できないこと

■みまもり契約とは何か

  • 高齢者や単身者など、将来の生活に不安を抱える方が、信頼できる専門職や支援者に「日常的な見守り」を依頼するための契約。
  • 法律上の明確な定義があるわけではなく、任意後見契約を補完する“任意の契約”として位置づけられる。
  • 行政書士が提供する場合は、単体契約ではなく任意後見契約のオプションとして付随させる形が適切。
  • 将来、後見人となる可能性がある専門職が、事前に本人の生活状況・価値観・意思を把握しておくための重要な役割を果たす。

■行政書士が「みまもり契約」でできること

以下は、行政書士が法令上・実務上、提供可能な業務を具体的に整理したものです。

●1. 本人の生活状況の定期的な確認

  • 定期訪問(例:月1回、隔月など契約内容に応じて)
  • 自宅の様子、衛生状態、食事・服薬状況、生活リズムなどの確認
  • 本人の健康状態や気力の変化を把握し、必要に応じて家族や医療機関へ情報提供
  • 本人の「困りごと」「不安」「希望」を丁寧にヒアリングし記録化
  • 訪問結果を任意後見契約の監督人や家族へ報告(書面・メール等)【後見開始後】

●2. 本人の意思の把握・記録

  • 本人が望む生活スタイル(住まい、医療、介護、財産管理の希望など)を継続的に確認
  • 将来の後見開始時に備え、本人の価値観・判断基準を詳細に記録
  • 医療・介護の選択に関する本人の意向を整理し、後見開始後の意思決定の補助資料として活用
  • 本人の判断能力の変化を長期的に観察し、必要な支援の段階を検討

●3. 行政書士としての専門的な書類作成・相談対応

  • 契約書(みまもり契約書・任意後見契約書案)の作成
  • 本人の生活設計に関する法的な相談(行政書士法の範囲内)
  • 公的制度(介護保険、障害福祉、生活支援サービス等)の利用に関する説明
  • 行政手続きに関する書類作成や代行
  • 本人の財産管理に関する「記録作成」や「助言」(ただし管理そのものは後見開始後)

●4. 家族・関係者との連絡調整

  • 本人の状況を家族へ定期的に報告
  • 医療機関・介護事業者との情報共有(本人の同意がある場合)
  • 緊急時の連絡窓口として機能
  • 後見開始後に備え、関係者との信頼関係を構築

●5. 任意後見契約への円滑な接続

  • 本人の生活状況・意思を把握しているため、後見開始後の意思決定がスムーズ
  • 後見人としての業務を開始する際、本人の希望を反映した支援計画を作成可能
  • 任意後見監督人との連携が容易
  • 本人の「意思の継続性」を確保できる点が大きなメリット

■行政書士が「みまもり契約」でできないこと

行政書士は法律専門職であるものの、みまもり契約は「日常生活の見守り」であり、以下の行為は法令上・倫理上、行うことができない。

●1. 財産管理・預貯金の出し入れ(財産管理契約が別途必要)

  • 本人の銀行口座からの出金・振込・引き出し
  • 本人の財産の運用・売買・処分
  • キャッシュカードや印鑑の預かり ※これらは後見開始後に後見人として行う業務であり、みまもり契約の段階では禁止。

●2. 医療行為の判断・同意

  • 手術や治療方針への同意
  • 医療機関への入退院の決定
  • 本人の生命・身体に関する重大な判断 ※後見人であっても医療同意は慎重な扱いが必要であり、みまもり契約では一切不可。

●3. 介護サービスの契約締結

  • 介護サービス事業者との契約締結
  • ケアプランの決定
  • 施設入所の契約 ※これらは本人または後見人が行うべき行為であり、みまもり契約では代行できない。

●4. 日常生活の実務(家事・買い物・送迎など)

  • 買い物代行
  • 掃除・洗濯・調理
  • 通院の付き添い
  • 送迎 ※これらは「家事支援サービス」「介護サービス」の領域であり、行政書士の職務範囲外。

●5. 本人の生活への過度な介入

  • 本人のプライバシーを侵害する行為
  • 本人の生活習慣を強制的に変更させる行為
  • 家族間のトラブルへの介入 ※行政書士はあくまで「見守り」と「記録」「助言」が中心であり、生活への介入は不可。

■みまもり契約が「任意後見契約とセットであるべき理由」

  • 任意後見契約は、本人の判断能力が低下した時点で効力が発生する。
  • そのため、後見開始前の期間に本人の生活状況・意思を把握しておくことが極めて重要。
  • みまもり契約を単体で提供すると、
    • 法的な位置づけが曖昧
    • 支援の限界が大きい
    • 本人の将来の意思決定に反映しにくい
  • 任意後見契約とセットにすることで、
    • 本人の意思の継続性を確保
    • 後見開始後の支援が円滑
    • 専門職としての責任範囲が明確
    • 家族や関係者との連携が取りやすい
  • 行政書士が後見人となる可能性を見据え、事前に信頼関係を構築できる点が大きなメリット。

■どんな方に「みまもり契約」が必要か

  • 高齢の単身者で、近隣に頼れる家族がいない方
  • 判断能力はあるが、将来の生活に不安を抱えている方
  • 認知症の初期段階で、生活の変化を見守ってほしい方
  • 遠方に住む家族が、定期的な見守りを専門職に依頼したい場合
  • 将来、任意後見契約を活用したいと考えている方
  • 自分の価値観や意思を、将来の後見人にしっかり伝えておきたい方

■高槻市内の士業による「みまもり契約」の料金相場

(2026年時点の公開情報・実務経験に基づく一般的な相場感)

  • 月1回訪問型:月額5,000円〜15,000円程度
  • 隔月訪問型:月額3,000円〜10,000円程度
  • 訪問頻度が高い場合:月額20,000円〜30,000円程度
  • 任意後見契約とセットの場合:
    • 任意後見契約書作成費用:50,000円〜100,000円程度
    • 公正証書作成費用(公証役場):30,000円〜50,000円程度 ※事務所によって大きく異なるため、あくまで参考値。

■まとめ

  • みまもり契約は、行政書士が「できること」と「できないこと」が明確に分かれている。
  • 行政書士が担うべき役割は、
    • 本人の生活状況の把握
    • 本人の意思の記録
    • 任意後見契約への円滑な接続
    • 法的書類作成・相談対応
  • 一方で、財産管理・医療同意・介護契約・家事支援などは行えない。
  • 任意後見契約とセットで提供することで、本人の意思を尊重した支援が可能となり、将来の後見業務が円滑に進む。
  • 高槻市でもニーズが高まっており、専門職による見守りは安心感につながる。

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