任意後見制度の手続きの流れと費用
高槻市の行政書士がわかりやすく解説します
【導入】
任意後見制度は、判断能力がしっかりしているうちに「将来、もし判断が難しくなったときに備えて、信頼できる人にサポートをお願いしておく」ための制度です。 前回のブログでは制度の概要をお伝えしましたが、今回は 実際の手続きの流れと費用の目安 を、できるだけわかりやすく整理してご紹介します。
任意後見制度は、書類を作るだけでなく、公証役場で「任意後見契約」という公正証書を作成する必要があります。 そのため、手続きの途中で専門家のサポートがあると安心して進められます。
この記事では、 「まずは専門家に相談」→「契約内容の整理」→「公証役場での手続き」→「任意後見契約の締結」 という流れに沿って、順番に説明していきます。
1. まずは専門家に相談
任意後見制度は、将来の生活や財産管理に関わる大切な契約です。 そのため、最初のステップとして 行政書士などの専門家に相談すること をおすすめします。
相談では、次のような点を確認します。
- 任意後見制度が自分に合っているか
- どのような場面で後見人に助けてもらいたいか
- 後見人を誰にするか(家族・親族・専門職など)
- 財産管理の範囲
- 医療や介護の希望
- 将来の生活設計との整合性
任意後見契約は「自分の希望を細かく決められる」というメリットがあります。 その反面、内容を曖昧にしたまま契約すると、将来の運用で困ることがあります。
そのため、最初の相談段階で、 「どこまで後見人に任せたいのか」 「どこは自分の意思を尊重してほしいのか」 を丁寧に整理していくことが大切です。
2. 契約内容の整理
相談を重ねながら、任意後見契約の内容を具体的に決めていきます。
● 任せたい内容の例
- 預貯金の管理
- 年金・保険の手続き
- 介護サービスの契約
- 医療機関との連絡
- 不動産の管理
- 施設入所の手続き
- 日常生活の支援
これらは人によって必要性が異なります。 「自分はどのようなサポートが必要になりそうか」を一緒に考えながら、契約内容を文章にまとめていきます。
● 後見人の選び方
後見人は、家族でも専門職でも構いません。 ただし、任せる内容が多い場合や、家族が遠方に住んでいる場合は、専門職後見人を選ぶケースもあります。
後見人は、契約後すぐに活動するわけではありません。 判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点で、後見人の仕事が始まります。
3. 必要書類の準備
契約内容が固まったら、公証役場での手続きに向けて書類を準備します。
● 主な必要書類
- 本人の印鑑証明書
- 本人の住民票
- 後見人となる人の住民票
- 本人・後見人の本人確認書類(運転免許証など)
- 契約内容をまとめた書面(行政書士が作成をサポート)
公証役場では、本人の意思がしっかりしているかどうかを確認します。 そのため、当日は本人が必ず出向く必要があります。
4. 公証役場での手続き
書類が整ったら、公証役場で「任意後見契約公正証書」を作成します。
● 公証役場で行うこと
- 本人と後見人予定者が公証役場へ出向く
- 公証人が契約内容を読み上げ、意思確認を行う
- 契約内容に問題がなければ、公正証書として作成
- 正本・謄本が交付される
公証役場での手続きは、通常1時間〜1時間半ほどです。 事前に予約が必要なため、行政書士が日程調整を行うことも多いです。
5. 任意後見契約の締結
公正証書が完成すると、任意後見契約は正式に成立します。
ただし、ここからすぐに後見人の仕事が始まるわけではありません。 後見人の活動は、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点でスタートします。
任意後見契約は、将来に備えるための「安心の準備」といえます。
6. 任意後見制度の費用
ここでは、高槻市周辺で行政書士が任意後見契約のサポートを受任した場合の平均的な費用 と、 公証役場で必要となる費用の目安 をまとめます。
● 行政書士のサポート費用(高槻市の平均的な目安)
任意後見契約の書類作成・相談・公証役場との調整などを含めると、 80,000円〜120,000円程度 が一般的です。
内容が複雑な場合や、財産管理の範囲が広い場合は、追加費用が発生することがあります。
● 公証役場の費用(目安)
任意後見契約の公正証書作成には、次の費用がかかります。
- 公正証書作成手数料:約11,000円〜20,000円程度
- 登録手数料(法務局):11,000円
- 謄本交付費用:数百円〜数千円
合計すると、 25,000円〜35,000円程度 が一般的な目安です。
公証役場の費用は全国共通ですが、内容によって多少変動することがあります。
7. 手続き全体の期間
任意後見契約は、内容の整理から公正証書作成まで、 約2〜4週間程度 が一般的です。
- 相談
- 契約内容の整理
- 書類準備
- 公証役場の予約
- 公正証書作成
これらを順番に進めていくため、余裕を持って準備することが大切です。
8. 任意後見制度を利用するメリット
任意後見制度には、次のようなメリットがあります。
- 自分が信頼できる人を後見人に選べる
- 将来の不安を減らせる
- 財産管理や介護の契約をスムーズに進められる
- 家族の負担を軽減できる
- 成年後見制度よりも柔軟に内容を決められる
特に、子どものいないご夫婦やおひとり様にとっては、 「将来の安心」を確保するための有効な制度です。
【まとめ】
任意後見制度は、将来の生活を守るための大切な準備です。 手続きは少し複雑ですが、専門家のサポートを受けながら進めることで、安心して契約を結ぶことができます。
- まずは専門家に相談
- 契約内容を整理
- 書類を準備
- 公証役場で公正証書を作成
- 契約成立
この流れで進めていけば、無理なく手続きが完了します。
